お前がだらしなく笑ってるあいだにも、時間は進む。

誕生日の翌日に病院の診察予約をいれたのは、
われながら終わってるなと思った。


医者は相変わらずぼんやりした診察で、
僕は不眠を治す気なんてこれっぽちもないからいっそ処方箋だけもらえませんかと。
何度言ったら覚えるんだろうこの医者は。


幾度となく繰り返される会話のループ。スパイラル。
治療を受けるべくは、あなただ、
と、今まで何度ものど元まで出かかった言葉を飲み込む。


診察後に病院前で出くわした患者のことを忘れるか普通。
それも三度目だろう。
『カルテNo.』でしか見てないんだ、
と気付いたのは今だ。
そうかこれでやっと得心がゆく。


そんな診察のあとに、
病院の受け付けの人から、
「お誕生日おめでとうございます」
と唐突に言われた。


「お祝いされる年でもないんですけど、」
「それでもやっぱり嬉しいですね」


この病院はこの人で持っているもんだと、
ふと思った。