作業デスクがDIYでサッカーゴールは僕の横。
新居用に作業デスクを作ろうと思い立ったので、
実家に舞い戻ってきました。
上の写真は天板の材料で、
出来上がり予想図は下の写真のようになる予定。
分割されている天板が緑色なのはACQ材(防虫防腐剤)を使用しているためで、
調整が終わったらこれにステインを塗り付けて木を染める。
小学校の床みたいな色になればいいなと思っている。
天板完成形はこんなかんじ。
微調整が終わっていないので未着色。
そんなわけで、ここ数日近所のパンダ公園(通称)に通っている。
今日は木材への墨入れ、切断及びやすりでの微調整を主にしていたんだけど、
予想通り春休みの小学生にまみれた。
彼らはサッカーに興じていたのだけれど、
どうやら僕が作業しているベンチとその隣のベンチの間の空間をゴールに見立てているらしく、
僕の隣をかなり激しいシュートが通っていく。
ほうほう少年よ、なかなかいい脚を持っているなぁ、などと思いながら、
終始にこやかに作業を進めていたのだけれど、
次の瞬間、僕の握っていた木材に少年のはなったミドルシュートが炸裂した。
墨入れの真っ最中だったため、木材を通して伝わった衝撃で握っていたエンピツの芯が弾け飛んだ。
エンピツは一本しか持ってきてないし、ましてやエンピツ削りなんかもない。
そのエンピツが、折れた。
はたして少年たちは謝るだろうか。
いやまてまて。
謝らなかったところでどうだって言うんだ。
僕はもう大人じゃないか。
下の毛だって完全体で生えそろっているし、
あっちのほうだってもうナニからナニまで経験済みだ。
小学生相手に今更腹を立てるやつがあるか?
あるわけがない。
かつてエンピツだったモノを握りしめながら、
僕は視界の端にとんとんと転がるサッカーボールをとらえていた。
二秒ほど凍りついた時間が流れ、
その凍りついた時間は少年の鈴の音のような声によって速やかに氷解した。
「ボールとってくださーい」
自分で取りに来いよガキども。
というセリフが喉まで出かかったが、
努めて冷静に振る舞い、笑顔なんて交えながらロベルト・カルロスのモノマネでボールを蹴り返した。
僕の蹴ったボールは、若干明後日の方向に飛びつつもおおむね良い感じに少年たちの輪の中に飛んでいった。
上出来じゃないか。
良いお兄さんじゃないか。
だからひとりの少年が吐き捨てたセリフに自分の耳を疑った。
「へったくそ」
聞こえたよ。
うん聞こえた。
明らかに僕に対して言ったよね。言ったね。言った。言っただろ。
持参した木材で少年全員をスパンキングしたい衝動が全身を駆け巡ったけれど、
そこは僕も大人だからぐっと我慢した。
「ごめんなー(笑)」
なんてセリフも笑顔で言えた。
公園はみんなのものだ。
僕は机作りをする権利があるし、少年たちもサッカーを楽しむ権利がある。
至極当然だ。
だから我慢しよう。
僕は大人なんだから。
そう思い直し、作業を再開しようとベンチに腰掛けた瞬間、
少年のボレーシュートが僕のひざを直撃。
弾んだボールはベンチ上の差し金をはじき飛ばして再び僕の視界の端に転がっている。
表情を失った僕のまわりに渦巻く負のオーラの気配を察知できなかったのか、
少年どもは再び、
「ボールとってー」
と馬鹿みたいな顔をして言う。
僕はゆっくりと立ち上がってガキどもの一人を手招きし、ボールを取りに来させた。
そして優しい笑顔で少年に、
「次ぶつけたら殺すから」
「あ、もちろん社会的に殺すって意味ね(笑)」
とそっと伝えた。
少しおとなしくなった少年たちを見届け、
今日の分の仕上げをするかぁと背伸びをしたら、
頭の真上に桜の花が咲いていることに気付いた。
僕に断りもなく春が来ようとしている。