夢。

フラッシュがばしゃばしゃたかれる音で目覚めたら、
中井貴一が記者会見を開いていた。
僕はテレビをつけっぱなしで寝たらしい。


中井貴一は頭を丸坊主に刈り上げて、
じっと目を伏せている。


番組のテロップには
中井貴一、緊急謝罪会見!!』
という見出しが躍っている。


何かやらかしたのだろうかと思いながら見るともなしに見ていたら、
立ち上がって刈り上げたばかりの坊主頭を深々と下げ
一礼したあと中井貴一はとつとつと語り始めた。

「わたくしは、妻という最高の伴侶がいながら、」


そこで中井貴一は口ごもる。
ああ浮気でもスクープされたのか。
下手を打ったんだなぁなどと見ていたら、
中井貴一は涙ぐみながらも勢いづいて続きを話し始めた。

「わたくしは妻がおりながら、
 夢の中で、虚無僧の格好をし、
 その・・・、
 しょ、小学生の少年に、みだらな行為をしてしまいました。
 この場をお借りしてお詫び申し上げます」


たき続けられていたフラッシュが止まる。
寝起きでぼんやりしていた僕も、
記者会見場のカメラマンと同様ぼう然としてしまった。


すさまじく意味のない、中井貴一の独白。
知らんがな。
虚無僧のコスプレじゃないとエレクトしない性癖なのか中井貴一は。
仮に、仮にそうだったとしても、
夢の中での少年との情事を
全国ネットでカミングアウトする意味がわからない。


会場の、全国のお茶の間の冷えきった空気をまったく感じないのか
中井貴一は泣き崩れている。
おいおいと声をあげて。




そこで唐突に目が覚めた。


何故こんな夢を見るんだ。
なんで虚無僧なんだよ。
中井貴一が見た夢の夢を見た僕の身体は
寝汗で汗だくになっていた。


他人の夢の話って、
本当に聞いても面白くないよね、
というのを実感できる夢を見ました、というお話です。


ミキプルーン