猿猴捉月図。

いつになるかわからないけれど、
このまま生きていくときっとこの人に逢うだろうなと勝手に僕が思い込んでる人たち。


パっと頭に思い浮かぶのは中島らも氏で、
氏に逢うために努力をしたことは一度もないけど、
本当に自然な流れで、
逢うことを予期させる出来事がたくさんあった。


関西テレビ系のCG制作に携わり、
扇町ミュージアムスクウェア(もう閉鎖しましたけど)の人たちと出会い、仕事して、
僕の身近なところで氏の話がちょくちょく出てくる機会が増え、
ああきっとそろそろ中島らもに逢うんだなと思ってた。
直接的なビジネスの話じゃなくて、もう少し違う形であるだろうけど、
そろそろだろうなっていう変な予感。


氏が釈放されてすぐのPISSのライブへ行こうと恋人の姉妹からお誘いがあったのだけれど、
僕は断っていた。
もっと違うかたちで逢って話をしてみたかった。
演者と客ではなく、もっと近い距離で、きったないカウンターに座って、間には一升瓶を置いて、
そういう距離で逢いたいと思った僕の小さなエゴが、
氏との出会いから自分を遠ざけてしまっていたのかもしれない。


中島らも氏とはまだ一度も逢ったことがない。
そしてこの先ももう逢うことはない。
演者と客じゃなくても逢おうと思えば逢えたのだろうけれど、
残念ながら逢うことはなかった。


酔って足を滑らして階段を転がり落ちたその刹那、
池に映った月は見えたのか聞いてみたかったのに。