熱帯夜に思う、雑草、雑想。

お盆記 ひとつめ。


炎天下に、もう見て見ぬふりをできるレベルをとうに超えているほど我が家の庭に群生した猫じゃらしをむしっていたら、
熱中症になりかけた。
くらっときたよくらっと。
なんとタイムリー。


猫じゃらしは背丈の割には根も薄く、存外抜きやすい。
50cm超えてても殆どちからを入れずに抜ける。
厄介なのはセイタカアワダチソウ
名前のとおり、背が高く泡立ったような黄色い花をつける雑草。
いつも空き地雑草界の人気ランキング、上位5位以内に食い込む実力派。
こいつやばい。
猫じゃらしが50cmくらいなのに、セイタカアワダチソウ1mくらい伸びてる。
全然空気読めてない。
名前よろしくすごい高さ自慢。
細長い。
「まあ雑草駆除のスペシャリストの僕には関係ない話ですけどね(笑)」
とか、いつもどおり通報スレスレの微笑みを浮かべながらぶつぶつ独りごちて、
いざ抜かんとしたのだけれど、抜けない。
もう、すごいかたい。
これはあれですか、この村に古くから伝わる、伝説の勇者じゃないと抜けないようになっている剣ですか?
力自慢で自称勇者のむきむきな旅人がどんだけがんばっても抜けないのを横目に、
ひょろこいガキが登場してあっさり抜いていくパターンですか?
ぼく勇者ちがうん?
なんで王様すぐに16歳の誕生日に勇者の息子だからとかいうトンデモな理由で魔王討伐の旅に出してしまうん?


まるで地面から離れるのを拒絶しているように見えるセイタカアワダチソウ
問題は、そんな我が侭な伝説の剣が、なぜか5本以上も我が家の庭に生えてることなんだけど
炎天下のせいか、さっきからじりじりとライフが削られていくのを体感しているのでそんなことも言ってられない。


お前ら庭に生えるんなら家賃払えぇぇっ?ぉっけええぇと生々しい理由で自分を鼓舞し、
ここ数年使ってないフルパワーで一気に抜き去った。
バルバルバルバルという擬音とともにたくましい根が露出。
よく見ると、他のセイタカアワダチソウと地下茎で繋がってる。
ご兄弟でしたか、失礼。


すっきりした庭をくらくらしながら見渡してたら、
小さいセイタカアワダチソウ(弟)を見つけた。
その時に必死に弟をかばうセイタカアワダチソウ(兄)の声が聞こえた気がするけど
きっと気のせいだと思ってなんのためらいもなく抜いた。
キレイになった庭には、しっかりと除草剤を撒いて猫じゃらし掃討大作戦、成功。


人類の勝利。


部屋の中に戻ったら汗だくで頭がくらくらしたので水分補給をしながら
久しぶりに高校野球を観た。
その話は後日、『お盆記 ふたつめ』で。